大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(ネ)2839号 判決

昭和三十四年七月三十一日金八百七十万円が控訴人より被控訴人に交付せられたことは当事者間に争いがなく成立に争のない甲第二号証(領収書)には、「土地代金手附として」という記載があり、かつ右金員が高額であることは一応契約の成立を推測せしめる有力な資料ということはできる。しかしながら前掲証人飯田の証言、原審における控訴会社代表者岡本訊問の結果(一部)及び前掲被控訴人本人訊問の結果によれば、右金員の交付は、控訴会社代表者岡本において、被控訴人がもと国を相手取り、被控訴人の所有地上に設置されていたパイプ類の撤去を求める訴訟を提起して勝訴したことがある等の事情から、国際航業株式会社との、前示東南偶買受等の交渉に成功することを楽観し、本件土地建物の売買契約は、既定のとおり必ず実現すべきことを信じていたのと、売買交渉中に被控訴人が目的物件を他の買手に売却して控訴人の買受が不能となる事態の生ずることをおそれ、これを防ぐ目的等もあつて、仲介報酬を得ようとして、金銭の授受を急いだ訴外飯田のすすめにより、売買契約成立の暁には、それをもつて手附金とすべき金、すなわちいわば保証金とする趣旨においてなしたものであることが認められるから、右金員授受の事実も前記認定を左右するに足らない。

(仁分 池田 渡辺惺)

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